また、仮に判断を誤った場合でも、内向的な人は「なぜ、間違ったのだろう?」と考え込む傾向が高いこともわかっています。つまり、間違えたときにその経験から学びを得ることができるのが、内向的な人たちなのです。
これに対して、外向的な人たちは、ミスをしても立ち止まって考えたりしません。むしろ、失敗を重ねるほど次の行動の意思決定が速くなるのです。つまり、「ミスをしたから次こそ成功」というわけです。結果、失敗から学ばないので、またまた失敗してしまいやすいのです。
このように見てくると、内向的な人は正しい意思決定ができ、正しい行動をしやすく、その結果、成功をつかみやすい、とも言えそうです。
内向的人間のままで、外向的に行動する裏ワザ
私たちは、特定の性格を持って生まれます。内向的な性格は本質的には変わることはありません。ですが、行動を変えていくための具体的なエクササイズはあります。
人が「変わろう」と思ったときに陥りがちな失敗は、大きな変化をしようと考えてしまうことです。
大きな変化にはそれだけ大きなリスクを感じるものです。リスクに敏感な内向型の人は、ここで足踏みしてしまうのです。そうならないためには、リスクを恐れる必要がないくらいの、小さな変化を毎日積み重ねる、というやり方を身につければいいのです。
たとえば、「自分がやりたい仕事をするために、海外に留学したい」という目標ができたとします。このときに、今すぐ会社に辞表を出して、最低限の荷物だけを持って空港に行く、などという行動をとれる人はまずいないでしょう。それどころか、「今日中に英会話教室に入会してきなさい」と言われても、ためらう人が多いはずです。
しかし、「今日は昼休みに書店に行って、語学・留学関係の棚を見てみる」というくらいなら、決して難しくはないでしょう。翌日は、ネットでTOEFL受検や留学に強い英会話学校を調べてみる。これも十分に可能なはずです。
このくらいの小さな変化を積み重ねていくことで、海外留学という大きな結果を出すことを目指すのです。
「小さな変化」を更新し続けていく
人間は、大きな変化には耐えられません。リスクに敏感な内向的人間ならなおさらです。
それならば、無理をせず、耐えられるくらいの小さな変化をしていけばいいわけです。
その際に、ヒントになるのがヴァージン・グループの創始者であるリチャード・ブランソンが実践し、部下にも指導している方法です。
それは、記録とリスクを常に更新し続けること。毎日、今日はどんな変化を起こせたかを記録し、翌日には、前日にはとれなかった新しいリスクをとることを目指すのです。今日、ネットで英会話学校を調べたら、翌日には目星をつけた学校に問い合わせの電話をかけてみる、というようにです。
このように、小さな変化を積み重ねるという行動のクセを身につけることによって、無理なく変化を起こせるようにしていくのがいいでしょう。
メンタリスト
ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。慶應義塾大学理工学部物理情報工学科卒業。幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は累計200万部を超える。