内向性と外向性の研究をライフワークとしたアメリカの発達心理学者ジェローム・ケーガンは、「内向的な人は高反応であり、外交的な人は低反応である」と述べています。
ケーガン教授が小さな子どもを対象に行った調査は、高反応と低反応の違いのわかりやすい実例を示しています。
ケーガン教授は、実験で子どもたちをおどかしたり、未知なものに触れさせたりしています。それまで見たことがない動物や奇妙なぬいぐるみを近づけられ、一部の子どもたちは足をジタバタさせて動いたり、泣き出したりしたそうです。一方で、何を見せられてもチラッと視線を動かしたり、ニヤッとしたりするくらいで全然動じなかった子どもたちもいました。
この実験で、未知なものと遭遇したときに暴れたり泣いたりといった大きな反応を示す「高反応」の子どもたちは、大人になると内向的になり、逆に外部の刺激に対して「低反応」で、あまり動じなかった子どもたちは外向的になる。要するに、内向的・外向的というのは、刺激に対しての感度の違いである、というのです。
つまり「内向的な人」とは、外部の刺激にとても敏感な人のこと。そのため、外部の刺激に鈍感な人=外向的な人に比べて、あまり未知なものに挑戦したり、無茶をしたりしないというわけです。内向的な人は、外部の刺激に対して過敏な分、自分の内側に入っていきます。つまり、考える作業に向かいやすいのです。そのため、このタイプにはアーティストや科学者など、考えることを仕事とする人が多くなるわけです。
内向的な人は成功をつかみやすい
外向的人間と比べた内向的人間の強みとして、
・自制心が高い
・発想力がある
・感性が豊かで感受性が強い
といった点があげられます。
内向的な人は、知的作業やクリエイティブな活動において優れた能力を持っている、ということです。また、内向的な人の「自分を抑える能力」が、経済的に有利にはたらくこともわかっています。
「今1万円もらえるのと、1週間後に1万500円をもらえるのと、どちらがいいですか」と被験者に選択させる、行動経済学では定番の実験があります。1週間で5パーセントの金利がつく投資などありませんから、どう考えても1週間後に1万500円もらうほうを選ぶべきなのですが、ほとんどの人は、「今1万円をもらう」を選んでしまいます。人間の合理性は限定的にしかはたらかない、ということを示す実験です。
ところが、この実験でも、内向的な人は1週間待つほうを選択する確率が高いことがわかっています。