このとき、注意すべきは「想像」と「思い込み」を勘違いしないことだ。想像だけで相手の行動を100%把握することは人間の能力では不可能である。自分の想像したイメージを絶対だと考えてはいけない。そうならないためには、イメージを3パターン以上想定しておくことだ。一つだけに限定して対応していくと、行動が空回りする可能性がある。
できれば顧客がいま何を考え、どう行動しているかについて紙に書き出して整理してみるといいだろう。
そして事前調査と観察、顧客のヒアリングから得た情報を整理して、顧客が望んでいる内容について仮説を立てていく。
「長期的な利益を重視するこの経営者の思考パターンに基づくと、目先の導入費用よりランニングコストを重視した提案が歓迎される可能性が高い」
「これまで発注していた業者の対応スピードに不満がある様子。現在はリードタイムが短く、かつ安定供給できそうな仕入れ先をリストアップしている最中と考えられる」
このように顧客が望んでいると想定される内容を可視化した資料を、私たちは「ニーズマップ」と呼んでいる。
ニーズマップを作成すれば、社内のほかの部署とも顧客情報を共有することができる。このメリットは意外に大きい。より深く顧客ニーズを満たそうとすると、社内の他部署の協力が必要になる場合が少なくない。
「本来は1週間必要な仕事ですが、お客様が対応スピードを重視しているので、今回は3日で完了してもらえませんか?」
このように無理な依頼をするときでも、ニーズマップがあれば営業担当者がスムーズに社内を動かすことができるのだ。