おしゃれ感覚で和菓子を買う女性たち
――商品展開についてもう少し伺いますが、ブランド展開が実にユニークです。基本ブランドの「六星(ろくせい)」のほかに、和菓子ブランドの「豆餅すゞめ」、ギフト商品ブランドの「六星のお福分け」、さらに直売店は「むっつぼし」という名前です。
【軽部】「六星」として展開してきたお米やお餅の商品は、鳥や川、山など動物や自然の風景をパッケージに使ってきました。昔懐かしさに共感してもらったり、作り手の真心が伝わったりするようなパッケージにしたかったからです。
一方で、金沢市内の直営店では若い女性が購買客の主力になっていて、郷愁を狙ったパッケージでは響きません。彼女たちを捉えるのは、「おしゃれ」とか「かわいい」といった感覚です。みたらし団子を見て「わぁ、かわいい!」。それで食べてみたら、「あら、おいしいわね」となる。若い女性たちに少しでも手に取ってもらえるように、おしゃれ感のあるパッケージで始めたのが、和菓子のブランド「豆餅すゞめ」や、ギフト用の「六星のお福分け」です。これまで手薄だったターゲットに対して新たなブランドを投入して、ターゲットを広げていくという取り組みをしています。
――趣の異なる複数のブランドが存在すると、接するブランドによって顧客が持つイメージも変わってくるのでは?
【軽部】お客さまにとってはわかりにくいでしょうね(笑)。これまで「六星」と書いて「ろくせい」と呼んでいたのに、直営店の名前を平仮名で「むっつぼし」と露出するようになったら、「あれ、お宅の会社は『むっつぼし』と読むの?」とおっしゃる方もいます。「会社はろくせいですが、店の名前はむっつぼしです」と答えると、「なんてややこしいんでしょう」と。その辺はかなり不親切ですが、ただ、こういうのもありではないでしょうか。「なんだ、そうだったの?」と勝手に気づいてもらえれば、“ネタ”としてもおもしろいと思います。