「同窓会」に出ると脳が活性化される
イライラすることは、現役で働いている人にとってももちろんリスクがあります。アドレナリンが分泌し、血管が収縮し、若くても生活習慣病などに繋がります。30代でくも膜下出血になる人も少なくありません。大切なのはやはり自律神経を整えること。仕事中はみな交感神経のスイッチが入っていますので、仕事が終わった後にいかに副交感神経にスイッチを切り替えるかが重要になります。
そのために20代から40代の人におすすめしたいのは、運動習慣を身につけることです。長生きしたければこれはマストです。運動は副交感神経を鍛える数少ない方法です。最も効果的なのはランニングや水泳などの有酸素運動ですが、筋力トレーニングも効果的ということがわかっています。私の個人的なおすすめはヨガです。ストレッチと有酸素運動を同時に行い、腹式呼吸が副交感神経を優位にしますから、自律神経を整えるのには非常に効果的です。若いころに運動習慣が身についていれば、50代、60代でも続けることができるでしょう。
50代の人におすすめなのは、若いころの自分に遡ってみることです。50代になると、なぜか急に同窓会が増えます。田舎の小学校の同窓会で昔の思い出話をしたりすると、「違うよ保坂、あのときおまえは補欠だっただろ」などと思い違いを指摘されたりします。思い出というのはたいてい勝手に美化して記憶しているものですから、それを微調整してくれるのです。そうして脳の記憶の点と点を繋いで、頭のなかで自分史をつくる。私は50代になって、昔の友達に会ったり、思い出の地を巡り、今はもうない小学校跡地を訪ねてみたりしました。すべての点と点が繋がったとき、ちょうど還暦になっていました。
このようにして昔の記憶を蘇らせることは「ライフレビュー」といい、認知症の治療にも使われる方法です。なぜ脳にいいのかといえば、昔好きだった曲を聴くと、急にそのころのドキドキワクワクした感情が戻ったり、ある匂いを嗅いだらある瞬間を思い出すといったことがあるように、当時の感情や記憶を思い出すことで、脳がそのときの状態に戻るからです。若いときの感動を思い出せば楽しい気持ちになり、さらにリラックスし、副交感神経が優位になります。