精神編▽薬を飲む前に確かめるべきことは

▼短気になった→精神疾患?
実は……褐色細胞腫
「奥さんから『主人が急に怒りっぽくなって不安』と連れてこられた患者さんがいた。お腹を触診したところ顔が真っ赤になって大声を出した。CTを撮ると、副腎腫瘍の褐色細胞腫という珍しい病気にかかっていた。怒りっぽくなったのもそれが原因だった」(鈴木)

▼性格が変わった→疲労?
実は……前頭葉に腫瘍
「几帳面だった人が、急にルーズになった。単に疲れがたまっているのかと思ったが、念のためMRIを撮ると、前頭葉に大きな腫瘍が見つかった。脳の他の部分だと、ろれつが回らないなどの症状が出るが、前頭葉の腫瘍は診察でわかりにくく注意が必要」(鈴木)

▼気分が沈む→うつ病?
実は……軽度なら不要
「うつ病に処方されるSSRIという薬がある。よく効くが、飲み始めるとやめられない。その説明が足りていないことを米司法当局に指摘され、製薬会社は和解金30億ドルを払った。軽いうつ病で飲むのはダメ。会社に行くのが憂鬱なら休めばいい」(新見)

▼イライラする→更年期障害?
実は……軽度なら薬は不要
「更年期障害はホルモン剤の補充療法が効果的といわれる。しかし、ホルモン剤は血が固まりやすくなり、命の危険がほんの少し高まる。軽いのに薬を飲むのはどうか。昔は『3年我慢すれば自然に治る』といって多くの女性がやり過ごしていた」(新見)

▼夜、眠れない→睡眠薬を飲むべき?
実は……毎日飲んではダメ
「不眠で熟眠感がなくても、生活に支障がないかぎり問題はない。翌日、仕事中に寝てしまうレベルなら治療は必要だが、睡眠薬は依存性があるので毎日飲んではダメ。依存性のないメラトニンの薬を飲むか、3日に1回におさえるべき」(新見)

(村上 敬=文、構成)
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