健診結果は受診日の「日記」にすぎない
企業には1年以内ごとに1回、従業員に対して定期健康診断を実施する義務が課せられています。受診をさぼると、会社から何度も注意されるはずです。そこまで強制されている健康診断(任意の人間ドックも含む)の検査項目の多くに医学的根拠が薄く、病気の発見にほとんど役立たないとしたら、どう思いますか?
医学的根拠が薄いと結論づけたのは、健診を義務づけている厚生労働省自身が組織した「最新の科学的知見に基づいた保健事業に係る調査研究」班で、健康診断で実施されている代表的な24の検査項目のうち心電図測定、胸部X線、コレステロール検査など16項目は「病気の予防や死者の減少という視点では、有効性を示す根拠が薄い」と結論づけています。心電図測定は虚血性心疾患の発見には無意味。胸部X線は肺がんの発見に有効との証拠なし。コレステロール検査はコレステロール低下には役立つが心筋梗塞の予防には有効との証拠なし。尿検査も糖尿病の発見には不適切、腎不全を防ぐ証拠はない。尿検査は古い検査方法で、糖尿病の可能性を探る目的ならヘモグロビンA1c(HbA1c)などを行うべきなのです。健診結果を信じていいのは血圧、身長・体重、飲酒、喫煙、うつ病、糖負荷試験だけ。
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