「ざわちん効果」を狙う若い女性
ものまねメイクで人気の「ざわちん」が以前、マスクをつけてメディアに出ていたときは「いったいどんな顔をしているのだろう」と、ミステリアスな感じを受けたものだ。当初、顔を全部晒さないほうが仕事上、得策と考えたうえでのマスクだったのだろうが、一般の女子のなかにもマスクで自己演出する向きは相当数いると思う。
ユニ・チャーム株式会社の調査(2014年10月)では、マスクの形や色によって見た目の印象も変わるという結果が出ているという。マスクの立体感や色・質感など素材によって「小顔に見えるマスク」「優しそうに見えるマスク」「美人に見えるマスク」は異なるという研究結果が出ているのだ。
今日は美人に見えるように。明日は小顔に見えるように。そうやってマスクをアクセサリーのように交換して、を今どきの女子たちは顔を変幻自在に変えるというわけだ。
小林製薬の調査によれば、「ほぼ毎日マスクをする」という人の割合は年々増えていて、2008年はそれが18.0%だったのに対し、福島原子力発電所の事故が起きた11年には30.6%と日本国民の4人に1人以上が毎日マスクをつけるようになった。さらに、10枚以上保持している人の割合も7割近いというからものすごい消費量である。
すっぴんの人には関係ないだろうが、お化粧崩れしない、直接顔につかないマスク、いい香りがするマスク、ちょっと湿ったマスク、呼吸しやすいマスク、ほんのり色づいたマスク、花粉やPM2.5や病原菌を防ぐマスクなど、種類も用途も様々で、ますますマーケットの広がりをうかがわせる。
フィギュアスケートの羽生結弦選手が上海へ赴いたときしていた「ピッタリッチ」という日の丸つきタイプのマスクは、一時人気沸騰で供給が追いつかなくなったとか。顔にフィットしたまま型崩れしないのが特徴で、100回洗って使えるという。なんと、鼻の高さや横幅など5箇所を測って作るオーダーメードタイプ(税込み1万1980円)もあるというから驚きだ。
ここ数年で、マスクはオールシーズン、全世代の必需品となった。
最小&最強のバリアであり、仮面であり、ドレスであり、癒しであるマスク。「風邪をひいたら、マスク」なんていう固定概念は完全に古い。そのうち透明なマスク、つけると痩せるマスク、カラダにいいマスク、なんていうアイデアマスクが出始めるかもしれない。