「部長、ちょっといいですか?」。思いつめた顔で女性の部下が訴えてきたらどうするか。5つのテーマにあわせて、落ち着いて対処するためのマニュアルを紹介しよう。第5回のテーマは「部下への『えこひいき』に不満爆発」――。(全5回)
※本稿は、「プレジデント」(2017年10月30日号)の特集記事「女子社員からの怒りのクレーム 緊急フォロー術5」を再編集したものです。
思い込みを覆すことは、まず無理
何人も女性がいる職場で1人の女性を引き上げたら、他の女性陣から「えこひいき人事だ」と不満の声が上がるのは、むしろ当然といえます。なぜなら、男性が論理で生きているのに対し、女性の生きる基本は好きか嫌いか。しかもその割合は、私の経験からいうと1対9。「好き」の範疇に入るのは周囲の10%の人にすぎず、残りの90%には、どこか快くない感情を抱いているのです。そのうえ女性は男性の何倍もジェラシーが強いときています。
「彼女が抜擢されるなんておかしい。やっぱり部長とできていたのね」
誰かがそんなことを口にしようものなら、その噂は新幹線を超える速度で職場内に広がります。こうなると職場の雰囲気は悪化します。人事を行った上司も女性社員から白い目で見られ、やりにくいことこのうえありません。
しかし、えこひいきなどしていたら、仕事の成果が上がらず社内での自分の評価が下がってしまうので、実際には、男性が人事に個人的感情を持ち込むようなことは、ほとんどないのです。だからといって、そんな正論を吐いてみたところで、いったんえこひいきと思い込んでしまった彼女たちの心を覆すことは、まず無理だと思ってください。