なぜ、「クッション言葉」は必要か

コミュニケーションには、大きく分けて2つの方法がある。ひとつは、会話や文字など「言葉」を使って行う「バーバル(言語的)コミュニケーション」。もうひとつは、表情や身振り手振り、声のトーンなど「言葉以外」を使う「ノンバーバル(非言語)コミュニケーション」だ。

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文字では心の機微を伝えにくい

フェース・トゥ・フェースの会話では、バーバルとノンバーバルを両方使い、言葉で表現できない部分はノンバーバル(表情や態度など)で補うことができる。しかし、メールの場合は、ノンバーバルが伴わないため、言葉だけで相手に意味を伝えることになり、誤解を招くこともありうる。そのため、プライベートなメールでは送信者の感情や思いを、(汗)(笑)、顔文字やイラストなどで表現することで、ノンバーバルを補う役割を果たしているのである。

ただし、これは友人同士であれば問題ないが、ビジネスメールでは使えない。せいぜい使用できたとしても、色を付けたり、強調したりする(!)くらいである。そのため、行間に漂う気遣い(クッション言葉)の有無で、送信者や内容に対する印象が決定づけられてしまうので注意したい。

また自分の考えを一方的に書くだけでは、攻撃的と取られる可能性もある。たとえば、「○○してください」より「○○していただけますか?」「○○をお願いできますか?」と疑問文にすると相手に返事をする機会が与えられるため、受け取り側は押し付けられた印象を持ちにくい。

一方、相手に気遣いすぎる受け身的な表現では、言いたいことが伝わらない。相手を気遣う言葉、ソフトに置き換える言葉を心がけ、さらに「どうせ」「そもそも」などネガティブな言葉を避けるのが望ましいのである。

アドバイザー 田中淳子(たなか・じゅんこ)
グローバル ナレッジ ネットワーク(http://www.globalknowledge.co.jp/)で、年間1000人以上の人材育成に携わる。人材教育コンサルタント、産業カウンセラー。上智大学文学部卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、1996年より現職。
(事例作成、構成=戌亥真美)
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