女性の社長や会長が活躍する会社にしたい
最近は、政府主導の女性活用の影響もあって、「女性だから」という理由で管理職に登用しようとする動きが支配的ですが、私は賛同できません。わが社では、女性管理職を何割つくるといった目標も設定しませんし、実力のない人に下駄を履かせて昇進させる気もありません。こうしたやり方は、男性に対しても、何より頑張っている女性にも失礼だし、無理に女性を昇進させても、女性課長は出てきても、女性社長を輩出することはできないと思います。私は、わが社を女性社長や女性会長が堂々と出る会社にしたい。
要職に就くということはその責任からして大変なことです。男性も物凄い競争を経て、苦労して、やっと要職に就けるのですから、女性も上にいくからには、その苦労を、「ガルル」を、ちゃんと経験してほしいと思います。
わが社が掲げる「DeNAクオリティ」という5つの約束事のなかに、“全力コミット”というのがあるんです。やはり、仕事をしている時間は、みんながみんなハードワーカーであってほしいんですね。それは妥協できないところです。
一方で、男性社員もパパになってしばらく自分が子育てしたいという人が出てきたら、それはそれで尊敬すべき意思決定なので尊重したい。今の日本は、男性がそうした決断をするとダメージが大きいのですが、もっと解放されるべきだと思います。
いずれにしても、男女にかかわらず、各人の置かれた状況やライフステージに応じて仕事を設計できる会社にしていきたい。仕事人間と家庭人間、両極端を経験した私だからこそできることは多いのではと張り切っています。
新潟県生まれ。津田塾大学卒業後、86年、マッキンゼー・アンド・カンパニー入社。ハーバード・ビジネス・スクールでMBA取得。96年、パートナー(役員)に就任。99年、同社を退社してDeNAを設立、社長に就任。2011年、夫の看病に力を注ぐため社長兼CEOを退任、取締役となる。