「優秀な人はどんどん外に出て行ってもらっている、4年もいればどこでも通用できる人材になっているので」。DeNA会長の南場智子さんはそう話す。外で活躍してもらうことで、より社員との深いつながりができているのだそう。遠心力を働かせながらも、人材を惹きつけられる企業の魅力とは。南場智子さんと、入山章栄教授にお話を伺った。
2022年9月14日(水)、日比谷ミッドタウンBASEQホールにて「ローンディールフォーラム2022」が開かれた。登壇者はDeNA 南場智子氏、早稲田大学 入山章栄氏、ローンディール社長の原田未来氏の3人。オンライン参加含む約400人の前で「企業の遠心力と求心力」をテーマにトークを繰り広げた。
スタートアップ経験後に大企業を辞めない人は「問題」なのか
【入山】「今日のテーマで遠心力とありますけど、越境すると外に出っぱなしになる、あるいはそれがきっかけで辞めるちゃうんじゃないかって心配する大企業も多い。僕は常に辞めろ辞めろって言っているんだけど、レンタル移籍でスタートアップに行った人は実際はどうなんですか」
【原田】「150人が大企業に戻ってきて、1年以内に辞めたのは5人ですね」
【入山】「それ問題だと思う。南場さん、どうですか。外に出たけど結局ほとんど辞めないで残ってると。これっていいことなんですかね」
【南場】「残るのもいいとは思うんだけど、DeNAはどんどん外に出て行ってもらっています。最初の頃は囲い込みをしていたんですけど、途中から考え方を大きく変えました。入社して4年も経てばどこにでも通用するような人材に育っていますので、実績をあげた人で起業家精神を持っている人は、『そろそろいいタイミングなんじゃないの? 起業したいって言ってなかった?』って。デライト・ベンチャーズ(※)で出資したりして、独立をしてもらうわけです」
【入山】「当然ながら普通、会社ってできる人を残したいわけで。できる人をDeNAの幹部にしてサポートしてもらいたいと思うのが普通の経営者だと思うんですよね。できる人をむしろ出したいっていうその感覚は結構すごい」