一方、アメリカの女性政治家は、華やかな服を身にまとい、人々の羨望を集めている。コンドリーザ・ライス元国務長官や史上初の女性下院議長となったナンシー・ペロシ下院議員のファッションセンスは有名だ。また副大統領候補として一世を風靡したサラ・ペイリン前アラスカ州知事の赤いジャケット姿は記憶に新しい。
さらに女性政治家のファッションとしては、ヒラリー・クリントン前国務長官の影響力は特筆すべきだ。黒のパンツスーツは90年代までニューヨークの金融街で働く高所得女性のシンボルともいえるファッションだった。それがヒラリーが着るようになって全米に定着するようになったといわれる。
ヒラリーは、ファーストレディー時代にはメイド・イン・アメリカのブランドである「オスカー・デ・ラ・レンタ」を身につけ、国務長官として外交の場に現れるときには鮮やかな水色や青色のスーツを着こなし、さらにオバマ大統領との会議に出るときは黒のパンツスーツに色鮮やかなインナーをあわせている。これは外交の場では自らが代表であることを、会議の場では大統領を補佐する役目であることを、ファッションを通じて示しているのだ。
米国でも、ファッションばかりにカネを使う政治家は批判を受けるが、洗練された着こなしは、女性たちの共感と憧れを呼んでいる。
翻って、日本の政治家は憧れの対象となっているだろうか。まずはファッションの面でのチャレンジが必要だ。そうすれば、「洗練」を嫌う政治風土も改まるかもしれない。
横江公美
1989年明治大学経営学部卒業。94年松下政経塾に入塾。VOTE Japanを経て現職。博士(政策)。著書に『キャリアウーマン・ルールズ』『日本にオバマは生まれるか』などがある。