AIS社は、13年4月の組織再編で発足した社内カンパニーで、これまでオートモーティブ事業を担当していたパナソニックオートモーティブシステムズ(PAS)を母体に、小型2次電池や電子材料などを統合してできた。車載分野や産業分野、ICT分野に対して、材料からデバイス、システムに至るまでの製品群を持つのが特徴だ。AIS社の12年度の売上高は2兆5180億円で、自動車関連事業は約1兆円である。
パナソニックが、自動車関連事業にフォーカスする理由はいくつかある。
1つは、今後も自動車産業の成長が見込まれ、電気自動車をはじめとする環境対応車の増加が予測されているからだ。
現在、全世界の自動車生産台数は、年間8400万台。これが20年には、新興国での販売増加などを背景に、1億台になると予測されている。世界規模での成長が見込まれているのだ。その中で、現在、アイドリングストップ車などの環境対応車は約12%だが、今後5年間で全体の3分の1を占めるといわれている。
「自動車の全部品に占める電気関連部品の比率が増加するのは明らかで、それはパナソニックが、“お役立ちできる”領域が増えることを意味する」(山田社長)
パナソニックは、世界ナンバーワンシェアの自動車向け部品を数多く抱える。
2つ目は、パナソニックにとって、海外事業構成比を高める余地が大きい点だ。パナソニックの自動車関連事業の構成比は日系企業向けが約6割。世界市場の中では、日本の自動車メーカーのシェアは3割弱。ここからも、海外メーカーに販路を拡大する余地がある。山田社長は、
「欧米基軸での事業構築、新規顧客の開拓がカギ。脱日本発想での取り組みを進める」
という。そして、3つ目は、複数のビジネスユニットが、AIS社に統合されたことで、「付加価値のある提案」ができるようになった点だ。