図を拡大
営業利益

売り上げ目標は明示せずに、営業利益で3500億円以上、営業利益率で5%以上、フリーキャッシュフローで3年間累計6000億円以上を目指すことを掲げたのだ。その中で打ち出したのが、パナソニックの成長の軸をBtoB(企業と企業の取引)に置くことだ。

読者の多くがパナソニックに対して持つ印象は、テレビメーカーであったり、かつての「ナショナル」ブランドから続く、白物家電メーカーといったものだろう。だが、津賀社長は、

「これは正しいパナソニックの姿ではない」

という。実際、12年度の業績のうち、BtoC事業は、全体の約3分の1でしかない。裏を返せば約7割がBtoBである。売り上げの構成比だけから見ても、パナソニックの得意分野は、BtoB事業であろう。

津賀社長は、中期目標として、「パナソニックの創業100周年となる18年度までに、自動車関連事業で2兆円、家電を除く住宅関連事業で2兆円の売上高を目標とする」と打ち出した。いずれも、現在のそれぞれの事業規模の約2倍となる目標で、自動車・住宅を合わせた売上高構成比は、パナソニック全体の売上高見通しの「約半分」を占める。津賀社長は、パナソニックの中期的な成長と収益改善を、「自動車関連事業」と「住宅関連事業」の2つの事業に懸けると決めたのだ。

自動車と住宅に強いパナソニックを創出

パナソニック 代表取締役専務 
山田喜彦 

オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS社)社長。1951年生まれ。74年慶應義塾大学経済学部卒業、同年松下電器産業(現・パナソニック)入社。2004年役員、北米本部長、07年常務役員、11年専務などを経て、13年4月より現職。

「自動車産業と住宅産業に強いパナソニック」

これは、5年後に創業100年を迎えるパナソニックの姿となる。

では、なぜ、パナソニックは自動車関連事業と住宅関連事業を、今後の成長戦略の柱に位置づけると決めたのだろうか。

パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(以下、AIS社)の山田喜彦社長は、

「自動車関連事業の成長には、津賀の強い意志が入っている」

と前置きし、「ここは、パナソニックの強みが生かせる領域のひとつ。BtoBの先兵役として、新たなパナソニックグループの成長エンジンになる」と意欲を見せる。