もう“家電”メーカーとは呼ばせない。パナソニックがいま、大きく変わる。自社製品をつなぐ“まるごと”戦略は、家からついに街づくりにまで発展している。急遽、三洋電機、パナソニック電工を完全子会社化して、その次に目指す先とは……。
店舗まるごと戦略 コンビニエンスストア型「エコ実験店舗」●桶川事業所
図を拡大
店舗まるごと戦略 コンビニエンスストア型「エコ実験店舗」●桶川事業所

店舗まるごとの取り組みも進んでいる。埼玉県桶川市にあるグループ会社の敷地内に、コンビニの実験店舗がある。コンビニなど小規模店舗向けに太陽電池や蓄電システム、冷蔵・冷凍ショーケース、照明、エアコン、電気自動車のための充電スタンドなど、パナソニックグループの設備機器をまるごと納入するための実証実験店舗だ。

店内には飲料水から食品、雑誌までさまざまな商品が並び、実際に買い物もできる。街中で見慣れたコンビニとほとんど変わらない。ただ、天井やショーケース、壁面などあちこちにセンサーがむき出しになっているのが、実証実験中であることを示している。

「エネルギーをいかにマネジメントするかです。コンビニにおけるエネルギー消費の三大要素は、冷蔵ショーケース、照明、エアコン。これだけで店舗全体で使用するエネルギーの8割を占めます。この3つを重点的に省エネしなければ、店舗全体の電力使用量は減りません」(パナソニックシステム・設備事業推進本部商業施設・インフラチームチームリーダー・森山晋弥氏)

<strong>森山晋弥●</strong>パナソニック システム・設備事業推進本部商業施設・インフラチームチームリーダー/<strong>山本賢一郎●</strong>パナソニック システム・設備事業推進本部事業推進グループ企画チームチームリーダー
森山晋弥●パナソニック システム・設備事業推進本部商業施設・インフラチームチームリーダー/山本賢一郎●パナソニック システム・設備事業推進本部事業推進グループ企画チームチームリーダー

バックヤードには最新の配電盤やコントロール機器が設置されている。冷蔵ショーケース、照明、エアコンは専用の制御機器とつなぎ、時間帯で細かく電力消費量を管理することで、従来(07年度コンビニ業界標準の電力消費量)に比べて約3割減らせるという。これを13年までに半減させるのが目標だ。

「個々の設備機器の省エネ化と太陽電池による発電、蓄電などをスマートエナジーゲートウェイ(SEG/次世代分電盤)で、総合的にコントロールすることで電力消費量の半減を目指します」(森山氏)

半減となるとハードルは相当高い。採光を工夫し、雨水利用など自然の力も活用する。こうした“店舗まるごと”から、新サービスが生まれる可能性がある。

「オールパナソニックとして、お客様に価値あるものを提供していかなければなりません。“店舗まるごと”は、単に消費電力を削減するだけでなく、こうしたシステムを構築してネットワーク化することが大切です。例えば、ショーケースなど機器のモニタリングやメンテナンスサービスなど、『店舗の保守一元化』など店舗管理のまるごとサービスも提供できると思います。店舗まるごとを推進することで、お客様にいろいろと経営に役立つメリットを提供できるのではないかと思います」(パナソニックシステム・設備事業推進本部事業推進グループ企画チームチームリーダー・山本賢一郎氏)

実はパナソニックは、海外でも、“店舗まるごと”を展開している。市場が飽和状態の日本に比べ、中国や東南アジアなどでコンビニ需要はこれからますます高まってくる。

「東南アジアでは、まだまだ省エネに対する取り組みが遅れています。例えば、照明、エアコン、冷蔵ショーケースをインバーター付きの新製品に置き換えただけで、2~3割の省エネが実現することがわかった。タイの現地企業とともに、実際のコンビニ店舗をつくり、実証実験のトライアル中です」(山本氏)

3社の総力を結集した「まるごと戦略」は海外でも広がりつつある。

(的野弘路、永野一晃=撮影)