田原総一朗が見た税所篤快の素顔
「自由奔放で旧態依然とした発想にとらわれていない」

僕は早稲田の大隈塾の塾頭を務めている。普通は授業が縦割りの学部で行われるが、大隈塾はどの学部にいても受講ができる。税所さんは大隈塾の塾生だった。

税所さんは大学に籍を置きながら、海外で学習塾の事業を始めた。最初は世界最貧国のバングラデシュ。

その後もルワンダやヨルダンといった危険地域に展開をしている。彼に魅力を感じるのは、すでに各地で実績をあげながら、学習塾事業で食べていくことを考えていないという点だ。普通なら事業をビジネスにしていくところだが、税所さんは自由奔放で、旧態依然とした発想にとらわれていない。まだ若く身軽だからこそ自由なのかもしれないが、この自由さを貫いてほしいと思う。

e-エデュケーション代表 税所篤快
1989年、東京都生まれ。都立両国高校卒。2007年早稲田大学教育学部入学。08年ムハマド・ユヌス氏に感銘を受け、インターンとして働く。09年「e-Educationプロジェクト」を設立。バングラデシュのダッカ大学など、難関大学に合格者を輩出。『「最高の授業」を世界の果てまで届けよう』(飛鳥新社)を上梓。
田原総一朗
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所、テレビ東京を経てフリーに。活字と放送の両メディアで評論活動を続けている。『塀の上を走れ』『人を惹きつける新しいリーダーの条件』など著書多数。
(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
関連記事
「新興国ビジネス」5つの勘違い
『ワーク・シフト』著者から日本のY世代へ「視野を広げ、発言し、行動せよ」
「急がば回れの対話道」で10億人マーケット攻略へ -味の素
何はなくともビニールシート! -イモトアヤコ流「海外サバイバルのオキテ」【1】
単身、最貧国で鍛えたあきらめない心 -対談:マザーハウス社長 山口絵理子×田原総一朗