ルワンダ、ヨルダンも先生が足りない

【田原】2年目はどうしました。

【税所】またゼロから寄付集めするのは大変です。そこでワタミの「みんなの夢AWARD」というコンペで賞をもらい、支援してもらうことに。渡邉美樹さんから提案を受けて、資本金100万円で会社を設立しました。

【田原】資本金はワタミが出したの?

【税所】いや、7割は自己資金でやってくれと言われました。

【田原】それはケチだなあ。

【税所】でも、70万円も持ってないと言ったら、立て替えてくれましたよ。

【田原】ビジネスにするということは、授業料は有料ですよね。それじゃ人が集まらないでしょう。

【税所】授業料を半年4000円に設定したのですが、有料にしたら人が集まらなくなりました。半額に値下げして何とか11人を集めたのですが、ワタミの人からは「話が違う。300人集めると言っていただろう」と叱られた。僕は、自信をなくして、引きこもり生活に。パートナーのマヒーンがバングラデシュで孤軍奮闘してくれました。

【田原】2年目の成績は?

【税所】11人中、2人がダッカ大学に受かりました。普通の予備校だと400~500人に1人しか受からないので、驚異的な合格率です。ほかの9人も大学に受かり、11人全員合格です。

【田原】それはすごい。でも、ビジネス化は失敗したし、バングラデシュもパートナーに任せておけばできる。税所くんの出番はないじゃない?

【税所】同期の友達は就活に入ったので、僕も身の振り方についていろいろ悩んでいました。でも、杉並区立和田中の藤原和博元校長にお会いしたとき、「破壊的な活動をすれば、創造的な影響を与えられる。おまえはもっと外れていい」とアドバイスされて、ふっきれました。就活して企業に入ることも1つの道だけど、もっと外れて遠回りをしてもいい。そう思って、プロジェクトに集中することにしました。

【田原】具体的には、何をしたのですか。

【税所】先生が足りずに困っている人たちは、ほかにもいるはずだから、「五大陸ドラゴン桜」に名前を変えて、バングラデシュ以外の地域でも同じモデルをやってみることにしました。