30歳になってから考えても遅くはない

【田原】この事業で利益は出るのですか。

【税所】海外ヘの渡航費や活動費はプロジェクトから出せるようになりました。藤原先生に「五大陸やるから200万円貸してください」と言ったら、「俺はお金を貸さない主義。100万円やる」と言って資金提供してくださった。またクラウドファンディングのサイトで呼びかけたら、多くの人から寄付を頂き、資金面は何とか回っています。

【田原】でも、税所くんはサラリーをもらっていない。それでどうやって食べていってるの？

【税所】いまも実家暮らしなので、固定費はほとんどかかりません。収入は、雑誌にコラムを書いたり、たまに講演をやって謝礼を頂いたりで、月に7万円前後。それで困っていないです。

【田原】五大陸ドラゴン桜をビジネスにして食べていくことは考えませんか。

【税所】まだ自分の人生に投資をしているつもりなんです。そのうちに経験値がたまってプロになっていくのかもしれませんが、少なくても今はそういう段階じゃない。現地の人からお金を取って利益を上げるより、自分が思ったことをのびのびとやってみたいです。

【田原】そこが面白いよね。上の世代だったら、普通は早くビジネスにしたいと考える。そこで焦らないことが、いまの若い世代の特徴だと思う。

【税所】そうかもしれません。この春にはブエノスアイレス在住の日本人から
「こっちでもやりたい」とメールをもらったし、フィジーやタンザニアの人からも打診を受けました。彼らに共通しているのは、ビジネスとして考えていないということ。みんな、どうやったら教育でインパクトを残せるのかということばかり考えています。

【田原】将来については何か考える？

【税所】先のことはあまり考えていません。僕の先輩に、ずっとミュージシャン志望だったけど、30歳であきらめて会社勤めを始めた人がいます。僕は、それもいいかなと。20代のうちはとにかく突き抜けて、うまくものになればいいし、うまくいかなくても、先のことはそのときに考えればいいかなと。

【田原】いいね。老後をどうするのかという話は、本当は考えなくていいんです。もちろん自分の人生を保守的に考える人がいてもいいけれど、税所くんみたいに「いまを生きるんだ」という人がもっと出てくると、日本も面白くなると思う。応援しているので、頑張ってください。