肩書にこだわり偉そうに振る舞う人にはどう対処するといいか。プロ司会者で作家の鹿島しのぶさんは「『人を評価するのに、相手の肩書や実績など一切関係ない』といい切る人がいるが、それでは極端で窮屈ではないか。とりあえず人の実績を素直に認め、受け入れ、相手を立てるといい」という――。
※本稿は、鹿島しのぶ『ワンランク上のおとなの礼儀』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
宴席で作法を守るように、人生の作法を守る
「宴席で作法を守るように、人生の作法を守ることを忘れてはならない。ごちそうが回ってきたら、礼儀正しく一人分を取る。次に回るのを滞らせないように。まだ回ってこないうちから欲しそうにしないで、自分の前に来るまで待つように。地位や富、妻や子どもについても同じこと」
これは古代ギリシアの哲学者、エピクテトスの言葉で、人生における礼節の大切さを教える言葉とされています。「宴席で作法を守るように、人生の作法を守ることを忘れてはならない」というわけです。
実際、宴席でのシーンを思い浮かべると、「どうぞ」「お先に」「恐れ入ります」などというフレーズが出てきませんか?
目の前にごちそうが回ってきたとき、日本人なら、「どうぞ」「お先に」という言葉を自然に口にする人が多いと思います。さらに、先に料理を取るときには、「失礼します」と一言添えるのでは?
そういう、いわゆる“クッション言葉”を口にすることで、相手を敬っている気持ちを表現できますし、そんな丁寧な言葉遣いに品性や礼儀正しさが表れるものです。
相手を思いやる言葉を発することで、心に余裕が生まれ、ごく自然に相手に譲ることができるようになるでしょう。それは、人生の過ごし方にも通じることだというわけです。

