ピンチに陥ったとき、人は目の前の差し迫った状況にとらわれてしまい、問題を冷静に解決できなくなったり、うまく人に助けを求められなかったりします。いったいどうすれば、自分を適切にコントロールして、ピンチを脱することができるのでしょうか。人の助けを上手に借りながら、自分で心を立て直していく手がかりを考えていきます。
誰かに「助けを求める」ことが誰かの役に立つ
ピンチに陥ったとき、人はなぜスムーズに助けを求められないのでしょうか? その理由は、目の前の危機的な状況や環境のみに心をとらわれてしまうからです。そして、ほかの選択肢や可能性を思考する方向へ、目を向けることが難しくなってしまうからだと考えられます。
実は、これはある意味では仕方のない状態とも言えます。なぜなら、人間の感情の仕組みとして、不快を感じると、不快に注目してしまう性質があるからです。そのため、危機的な状況に陥ると、どうしてもその状況にとらわれ続けてしまう。いわば、アラートがずっと鳴っているような状態であり、そうなると「人に助けを求めればいい」という楽観的な思考を持つ余裕がなくなってしまうのです。
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(構成=岩川悟、辻本圭介 図版作成=木村友彦 撮影=川しまゆうこ)

