関税の報復合戦が国際経済を後退させる
ドナルド・トランプ大統領の就任以降、世界情勢は目まぐるしく変化している。しかもその多くは、彼自身の言動を起点としている。「相互」関税を掲げながら、実際には米国側からの一方的な関税引き上げが宣言され、国防長官の機密漏洩疑惑、さらにはイランへの空爆やイラン、イスラエル間の停戦といった重大ニュースが、立て続けに報じられる。市民や専門家がその真偽や影響を吟味する間もなく、次々と新たな事態が押し寄せ、世界は常に「驚き」に翻弄され続けている。
これはまさに、薬師院仁志氏が『ポピュリズム』(新潮社)で述べたヨーロッパのファシズムの戦略と酷似している。有権者に政策の利点を論理的に説明するのではなく、情報の洪水で人々の思考を麻痺させ、怒りや不満を発散できる「敵」に向けて民衆を扇動する手法である。「不法移民を排除せよ」「国境に壁を」といったスローガンが典型であり、感情に訴えることで支持層を固めるポピュリストの常套手段である。
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