高齢者は医者の言うことに、どこまで従うべきか。医師の和田秀樹さんは「がんは高齢になれば多くの人が抱える病気であると同時に、抱えたからといって死因にならないことのほうが多い。そもそも私はがんは切らなくてもいいと考えているのだが、どうしても不安で手術をしたいなら、がんだけを切ってくれる医者を探すといい」という――。
※本稿は、和田秀樹『75歳からやめて幸せになること 一気に老ける人、日ごとに若々しくなる人の差』(大和書房)の一部を再編集したものです。
「はやりの健康法」に飛びつくのをやめる
医学は常に発展の途上にあり、現在の学説が5年後10年後に覆ることも往々にしてあります。反対に、今は間違っているとされている説が、実は正しかったと評価される可能性もあります。
例えば、かつて植物性油から作られるマーガリンは、動物由来のバターよりも健康的であると、もてはやされていた時期がありました。
ところが、ある時期からマーガリンに含まれているトランス脂肪酸が心疾患のリスクを高めるといわれるようになりました。今ではすっかり「マーガリンは不健康な食品」という認識が定着しています。
研究が進んだ結果、健康常識が更新されるのは読者の皆さんも理解できると思います。しかし、日本では大学医学部の教授が絶大な権力を持つせいで、有力教授たちがポジションを退くまでの間、すでに間違いが調査研究で明らかになっていることであっても、正しいとされ続けるケースがあります。
乳がんの乳房温存療法は、そのせいで標準治療になるのが15年も遅れました。考えるだけでもおぞましいですが、これが現実なのです。

