老後の夫婦関係を良好に保つにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「夫婦には、ほどよい距離感が必要なため、円満な夫婦関係には物理的に一緒にいる時間を減らすことが効果的だ。例えば一人が自宅で過ごす場合は、もう一人が最低数時間は外出するといい。また夫婦で異なる趣味を見つけ、別々の趣味を楽しむこともおすすめだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『75歳からやめて幸せになること 一気に老ける人、日ごとに若々しくなる人の差』(大和書房)の一部を再編集したものです。

喧嘩する夫婦
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「一人だから寂しい」というのは単なる決めつけ

70代後半になると配偶者との別れを経験し、一人暮らしをする人も増えることでしょう。

国民生活基礎調査」(2023年)によると、高齢者世帯のうち単独世帯が51.6%となっています。単独世帯は年々増加傾向にあり、これから一人暮らしの高齢者は確実に増えると予想されています。

単独世帯を男女別に見ると、男性は35.6%、女性は64.4%となっています。女性のほうが平均寿命が長く、夫が年上の夫婦が多いことを考えると、夫と死別した妻が一人暮らしになるというケースが一般的と考えられます。

ただ、当然ながら妻のほうが先にくケースもあります。この場合、気落ちした夫は急に元気をなくしてしまう恐れがあります。実際に妻を亡くした夫は余命が短くなるという調査結果も報告されています。

高齢男性には家事のスキルが低い人も多く、地域とのつながりも薄いため、一人になると、孤独のストレスに押しつぶされてしまうのかもしれません。

今、配偶者と元気に暮らしている人も、いざというときに備え、配偶者に依存せず一人で楽しく生きるための能力を身につけておきましょう。

そもそも「一人だから寂しい」というのは単なる決めつけです。今の若者の中にも、「結婚や恋愛よりゲームやアニメを楽しみたい」という人が一定数います。彼らは自由な時間を謳歌おうかし、孤独を楽しんでいるわけです。

やむを得ず一人暮らしに突入したら、最初は孤独感にさいなまれるでしょうが、気持ちを切り替えて、残りの人生を楽しく生きることが大切です。

ポイントは「孤独は気楽だ」と開き直ってしまうことです。

そのためにも、一人になったときに元気になるための方法を見つけておく必要があります。「これをやったら元気になれる」という日課や趣味などをリストアップしておきます。運動でも語学の勉強でもなんでもOK。できれば一つではなく複数持っておくとよいでしょう。