※本稿は、杉田正明『トップアスリートが実践している世界最強の健康マネジメント』(アチーブメント出版)の一部を再編集したものです。
睡眠不足が続くと寿命が縮む?
世界的に見て、日本人には睡眠不足の傾向があります。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、日中、強い眠気を感じる人や、朝だるさを感じながら起きる人は、睡眠不足であると考えられます。
このような人は、朝はつらくても、午後になると眠気が飛んで覚醒状態になるので眠気を感じなくなります。しかし、そのときに認知機能の簡単なテストをすると、相当パフォーマンスが落ちていることがわかっています。
睡眠不足が積み重なると、免疫システムが弱まり、脳の反応が悪くなり、また感染症、体重の増加、糖尿病、高血圧、心臓病、精神疾患を引き起こすほか、寿命を縮めるとも言われています。
これがいわゆる「睡眠負債」です。6時間睡眠が2週間続くと、脳は2晩連続で徹夜をした場合と同じような状態になり、仕事も勉強もスポーツも、パフォーマンスは低下します。そして気が付かないうちに体調を崩してしまうのです。
睡眠負債の解消までに3週間かかった
一方、睡眠負債とは逆になりますが、1994年にスタンフォード大学で4週間にわたって行われた睡眠時間計測の実験があります。8人の学生に、毎日同じ時間ベッドに入ってもらい、好きなだけ眠ってもらいました。
さらに目が覚めても睡眠時間を含め14時間はベッドで横になっていてもらったのです。実験をする前の平均睡眠時間は7.5時間でした。実験開始直後は13時間近く眠っていましたが、だんだん睡眠時間が短くなり、3週間を超えたところで、8.2時間にほぼ固定されました。
つまり、8時間12分が、彼らにとって生理的に必要とされている睡眠時間だと見ることができます。実験前は7.5時間でしたので、毎日42分睡眠負債を慢性的に抱えていたわけです。それが解消されるまで3週間という時間を要したのです。これは若い学生であっても、私たちが思っている以上に睡眠時間の確保が必要だということも示しています。

