健康的に痩せるには、何をしたらいいか。京都大学名誉教授の森谷敏夫さんは「きつい食事制限ダイエットをやめたときには、ダイエットを始める前よりも基礎代謝も筋肉量も減って『太りやすい体』になる。その後に食事を少しでももとに戻すと、体重が戻ってしまうか、もしくはダイエット前よりも太ってしまう」という――。

※本稿は、森谷敏夫『京大式 脂肪燃焼メソッド』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

炊きたてのご飯
写真=iStock.com/JUNICHI HIRAISHI
※写真はイメージです

結局もとにもどる「水の泡ダイエット」

私は、体重がみるみる減る「糖質制限ダイエット」のことを「水の泡ダイエット」と呼んでいます。せっかく一生懸命食事制限をしても、体脂肪は燃えずに、水分だけ抜けていくからです。

糖質制限ダイエットは、そもそも「糖尿病の患者さん向けの食事療法として有効」とされたものでした。健康な人向けではないため、極度な糖質制限生活を続ければ、ダイエットどころではなく寿命さえ縮めかねません。

危険なダイエットは、糖質制限ダイエットに限りません。1日の摂取カロリーを抑えるために、食事を抜いたりする「極端な食事制限ダイエット」も、体を栄養不足におとしいれる、きわめて不健康なダイエットといえます。

糖質制限ダイエットと、極端な食事制限ダイエットの何が怖いのか。ここで詳しく見ていくことにしましょう。

〈危険なダイエット1〉糖質制限ダイエット

これまでたびたび、短期間ダイエットで急激に体重が落ちるのは、体脂肪が減ったわけではなく、水分や筋肉が落ちただけ、というお話をしてきました。このことがもっともわかりやすいかたちで表れるのが、糖質制限ダイエットでしょう。何しろ、脳のエネルギー源である糖質に的を絞って、その摂取量を徹底的に抑えるダイエット法なのですから。

糖質の摂取量を抑えると、どのように体の水分が抜け、筋肉が溶け出していくのか、そのしくみを説明します。