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がん、心臓病、脳卒中。ベストな予防策とは

煙草の煙のタールに含まれる発がん物質は60種類を超え、体中を循環しつつ様々な作用を引き起こします。また、ニコチンには依存性があり、一酸化炭素とともに心臓、血管や血流に作用します。

煙草に関わる病気には、多くのがん(肺、口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部のがんおよび、骨髄性白血病)や循環器病(心筋梗塞、脳卒中)のほか、糖尿病や肺気腫などがあります。

そのため、死亡リスクもかなり高くなります。低タールにしようと本数を減らそうと「安全な喫煙」というものはなさそうです。

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悪癖を2つ同時進行させると発がん率が2倍以上に!

2008年に、日本の3つの大規模疫学研究のデータを統合して、煙草と死亡リスクの関連を分析しました。いずれの原因でも「吸わない」→「やめた」→「吸う」の順にリスクが高くなり、吸う人の吸わない人に対するリスクは、がん2.0倍、心臓病2.2倍、脳卒中1.3倍、全死亡では1.6倍でした。女性もほぼ同様でした。このように、リスクの値だけでも酒よりも煙草のほうが不利です。

酒と煙草を同時に楽しむ場合の酒と全がんリスクの関連を喫煙状況別に検討した研究があります。喫煙群では、飲酒量が増えるにつれ、がんの発生率が高くなりましたが、煙草を吸わない群では高くはなりませんでした。

そういうわけで、煙草と酒のどちらをやめるべきかといえば、まず煙草です。なお、煙草と酒を含むあなたの生活習慣を入力し、今後10年の健康リスクを予測するサイトを公開しています。http://epi.ncc.go.jp/riskcheck/

国立がん研究センター がん予防・検診研究センター予防研究部部長、医学博士 
津金昌一郎

1955年、東京都生まれ、81年慶應義塾大学医学部卒業、85年慶應義塾大学大学院修了。2003年より現職。
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