2010年度税制改正に盛り込まれた、たばこ増税。1本あたりの価格を約5円引き上げるという内容で、現在1箱300円のたばこは400円に、100円の値上げとなる。1日1箱吸う人なら、月に3000円ほどの出費増だ。

ちなみに値上げ分のうち3.5円は税、残りはメーカーの値上げ分という。国税と地方税を合わせて1本あたり約8.7円から約12.2円に、消費税が1箱あたり約14円から約19円に増税となる。

とはいえ、今回のたばこ増税は税収の確保を狙ったものではないとされる。政府は「健康増進のために消費を減らすことが増税の目的」としているのだ。

価格変動と需要の変化を示す「価格弾力性」とは
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価格変動と需要の変化を示す「価格弾力性」とは

読者で禁煙した方も少なくないと思うが、健康志向の高まりから、たばこの販売本数はすでに毎年4~5%の減少傾向にある。財務省の試算によると、増税によって販売本数は前年度比26%減が見込まれるという。

増税は愛煙家のさらなる減少に繋がるのだろうか。周囲の愛煙家からは「残念ながら100円程度の値上げなら禁煙しない」という声も聞こえてくる。

駅のホームの多くから灰皿が消え、ランチタイムは全席禁煙の店が増えた。愛煙家曰く、「たばこを吸わない者が感じる以上に生きにくい世の中になっている」。だが、愛煙家の中には、100円程度の値上げは、「痛いながらも許容範囲」といった受け止め方をする人も少なくない。

価格の変化に伴って、需要がどの程度変化するかを示す指標に、「価格弾力性」がある。具体的な計算式は別図に示した通り。20%値上がりしても需要が10%しか減らなければ価格弾力性は0.5。もしも、それが20%需要が減れば「20÷20」で1.0となり、前者のケースよりも後者のほうが価格弾力性が「高い」ことになる。