コスト削減の流れの中で従業員一人一人の生産性向上は急務だ。離職や欠勤より影響が大きいという「疾病による損失額」とその対処法が、調査研究によって明らかになった。
花粉症社員一人につき5000ドルの損失
グローバル経済では、企業間の競争がますます厳しくなっている。従業員一人の生産性を向上させるために、企業は様々な取り組みを行っているが、多くが見落としがちなのが、健康と生産性の関係だ。ピーター・ドラッカーの言葉にもあるように、「測定できないものは管理できない」からだ。
例えば、花粉症。多くの人たちが悩まされているアレルギーの一つだが、欠勤するまでに至るケースはごく稀だ。ところが、花粉症で働く社員の労働生産性は、そうでない社員と比べると著しく下がることがわかっている。花粉症が組織そのものをおびやかすコストになりうるのだ。
おおげさに聞こえるかもしれないが、考えてみよう。機械が故障した場合、修復に必要なコストには「ダウンタイム」やパーツの取り替え費用など、直接的なものがある。同様に、例えばAという社員が欠勤した場合、それを補填するためにBやCの労働時間への負担が生まれる。
だが、もちろん、人間は機械ではない。ここで注目したいのは、花粉症によって失われる業務遂行意欲や集中力の低下など精神面への影響、つまり間接的な損失だ。この間接的な損失は、想像するよりもはるかに高額なコストを生む。製品やサービスの質にも影響が出るし、顧客との関係にも問題が生じるかもしれない。
こうした目に見えない「間接的」な損失のコストを知ることが競争が激化するグローバル社会を生き抜くためには重要だ。
では、疾病によるモチベーションや集中力の低下など、わかりにくい生産性の低下を具体的にどうやって測定すればよいのだろうか?