仕事のストレスを適切に処理するにはどうしたらいいのか。公認心理師・松島雅美さんは「若い世代でメンタル不調に陥る社員は少なくないが、昨今、社会経験豊富な30代後半から40代で精神的につらさを抱えている人が増えている」という――。

※本稿は、松島雅美『メンタル強めになる習慣』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

「相談できない」が、メンタル不調の入口に

メンタルに不調をきたす理由を大きくまとめると、“ストレス”です。ストレスを放置すると心身に悪影響を及ぼすため、適切な対策が必要になります。

しかし、2022年に江崎グリコが実施した「ストレスとの向き合い方実態調査」によると、ストレスを感じていても82.1%の人が「大丈夫」と答えてしまう、あるいは答えたことがあると回答しています。

さらに、「ストレスを未然に防ぎたい」と思っている人がほとんどなのですが、約60%の人が「ストレスを未然に防ぐ方法が分からない」と答えています。

【図表】ストレスを未然に防ぎたい
出所=江崎グリコ「ストレスとの向き合い方実態調査」(2022)
【図表】ストレスを未然に防ぐ方法がわかる
出所=江崎グリコ「ストレスとの向き合い方実態調査」(2022)

ストレスを回避する方法の1つには、誰かに相談することが挙げられます。しかし、「ストレスを未然に防ぐ方法が分からない」と回答した人が多いということは、相談できていない、あるいは相談するという選択肢を思いついてすらいない人が多いということになります。

さらに、「分からないことを伝えるのは恥ずかしい」「できない人だと思われたくない」という気持ちが、相談をためらわせている可能性もあります。