“猛暑の梅雨”で心身のバランスが崩れやすい
皆様、6月を迎え、いよいよ梅雨の季節ですね。しかし、今年の梅雨は例年とは少し様相が異なるかもしれません。梅雨入り前から真夏のような日差しが照りつけ、かと思えば、気温が下がったり、急に湿度が高く蒸し暑い日が続く。このような気候の変化は、私たちの心身に大きな負担をかけ、様々な不調を引き起こす可能性があります。
この時期になると産業医面談で、「なんだか朝から体がだるい……」「頭が重くて仕事に集中できない」「食欲もいまいちで、何をするにも億劫だ」と、訴える社員たちがいます。もしかするとそれは、梅雨の気候が原因かもしれません。産業医として私は、特に近年は、“猛暑の梅雨”が指摘されており、高温多湿という過酷な環境下で、体力を消耗し、心身のバランスがより一層崩れやすいと感じています。
それ以外にも、週末の楽しみにしていたアウトドアの予定も、雨で急遽キャンセルになったりと、気分転換の機会を失い、なんとなく気持ちが沈んでしまう……。このような状況下では、「メンタル的にきついな」と感じてしまうのも無理はありません。
しかし、憂鬱な梅雨をただやり過ごすのではなく、積極的に対策を講じることで、心身の不調を最小限に抑え、健やかに過ごすことは可能です。そこで今回は、産業医として多くのビジネスパーソンの健康をサポートしてきた経験に基づき、今年の梅雨を賢く乗り切るための3つの重要なヒントをお伝えしたいと思います。
【ヒント1】梅雨の気候がもたらす心身への影響を正しく理解する
最初に理解しておきたいのは、なぜ梅雨の時期に私たちは様々な不調を感じやすいのか、そのメカニズムについてです。
1.湿度と気温の変化による自律神経の乱れ
梅雨時期は、低気圧が頻繁に通過し、気温や湿度が目まぐるしく変化します。私たちの体は、常に外部の環境変化に適応しようと働いていますが、急激な変化が続くと、自律神経のバランスが乱れやすくなります。自律神経は、呼吸、心拍、消化、体温調節など、生命維持に不可欠な機能を無意識のうちにコントロールしています。そのバランスが崩れると、倦怠感、頭痛、めまい、食欲不振、イライラ、不眠など、様々な不定愁訴が現れやすくなります。

