間違いを指摘するのとは逆に、無理な頼みを聞いてもらわねばならない局面もある。田中康之氏が勧めるのは、自分のキャラクターに沿ったノンバーバル・コミュニケーションだ。
「言葉の内容以上に笑顔であることが重要です。あえて無表情で面白いことを言う人もいますが、かなりハイレベルな技なので、素人には危険。柔らかい表情や雰囲気でユーモアの半分は決まっていると考えていいでしょう」
なお、どのような仕草をすればいいのかは十人十色。自分を客観視する能力が問われる。

「かわいい人ならば『お・ね・が・い』とウインクするのもいいでしょう。しかし、僕がやったら殴られるのが落ち。僕のキャラクターでは、いきなり派手に土下座する、部屋に入るなり深々とお辞儀をし、そのまま顔を上げずに話して平身低頭ぶりをアピールする、などが似合いますね」
もちろん、深刻な表情で土下座したら押し付けがましくなってしまう。信頼関係がある相手に対して、にこやかなのに切羽詰まった様子で、コミカルに頭を下げるのだ。そこに愛嬌が生じ、「まあ仕方ないか」という答えを引き出すことができる。
ノンバーバル・コミュニケーションの重要性については、斎藤由香氏も同意する。特に、何でもメールで伝えようとする風潮には警笛を鳴らす。
「最近、社内でも近い席にもかかわらず、メールでのやり取りが多い。でも、メールではなく直接のコミュニケーションが一番大切だと思います」
どんなに丁寧なメール文章を書いても、表情までは伝わらない。ましてユーモアを込めることなど至難の業だ。
同じフロアや建物で一緒に働いている意義は、顔をつき合わせて迅速かつ建設的なコミュニケーションを行えることだろう。
手間も足も惜しまずに相手に会いにいくことで、誠実でどこかユーモラスな空気が伝わり、無理な頼みができる土俵ができあがるのだ。
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