スパム報告しても効果ゼロのときは

問題なのは、運営側にスパム報告をしても削除してくれないケース。たとえば2ちゃんねるには削除依頼用のスレッドがありますが、応じてくれないことも多く、依頼自体が公開されるために逆効果となってしまうこともあります。

この場合は、「プロバイダ責任制限法」に基づいた手続きを取りましょう。選択肢は2つあり、(1)加害者である書き込み主(アカウント主)を特定する、(2)削除依頼をする、です。

(1)であれば、まずは運営側に加害者についての「情報開示請求」を行い、IPアドレスとサーバーにアクセスした時間を教えるよう申し立てます。IPアドレスがわかれば接続プロバイダがわかるので、次はプロバイダ宛に該当人物について情報開示請求をします。つまり2回情報開示請求することになりますが、権利侵害が明らかなら開示請求は認められます。氏名、住所などの本人確認が取れたら、権利侵害をやめるように警告するか、損害賠償請求をします。

(2)はもう少し簡単で、サイトの運営会社に「送信防止措置」の依頼をします。そうすると、運営側は加害者に「こういう申し立てがあるが、反論はあるか。削除してもよいか」と照会がかかります。この時点で加害者は自主的に削除するか、回答しないかのどちらかの対応を取ることが多い。照会から7日以内に回答がない場合は運営側が削除してもよいことになっているので、そのまま削除されます。(1)(2)のいずれも、費用は書類代と切手代程度ですみ、ガイドラインもネットで公開されています。

ただ、2ちゃんねるの場合は運営会社がシンガポールにあるため、この手続きが使えません。そのため、裁判所に削除や開示を認める決定をもらうことが必要です。手続きが煩雑なので、弁護士に相談したほうがよいでしょう。

フェイスブックやツイッターも日本の法律による請求を受け付けていません。ただ、フェイスブックでは実名登録が基本原則となっているためトラブルはそう多くないようです。ツイッターについては、10年11月に日本法人が設立され、この手続きに応じてもらえる可能性が出てきました。

いずれにせよ、トラブルには巻き込まれないことが一番です。トラブルの原因はやはりプライバシーに関することが多いので、書き込むときも他人のプライバシーに関わることには十分注意してください。ネット上での発信は、世界中の人が見ることができるのですから。

(構成=田中裕康)
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