警察への届け出は躊躇すべきではない

わが子がいじめにあっていると疑われるとき、どうすればいいか――。まずは担任の教師に相談することだ。担任の対応に不満があれば、教頭や校長に訴える。教育委員会や自治体でもいい。やれることは、すべて試してみるべきだ。特に学校は保護者からの情報を求めている。「モンスターペアレントと思われてしまう」と心配する人がいるかもしれないが、私の経験上、そういう自意識のある人は、モンスターにはならない。

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いじめのピークは中学1年生

文部科学省によると、全国の小中学校でのいじめの認知件数は7万231件(平成22年度)。いじめのある学校は、小学校で35%、中学校で55%となっている。だが、この数字は少なすぎる。いじめのない学校など考えられない。普通のクラスでも年間2~3件は起きる。

いじめの被害者、加害者の双方にとって重要なことは、早期の対策だ。その点で、いま「出席停止」という制度が注目されている。出席停止は、学校教育法35条で定められた制度で、学校の秩序を維持し、ほかの児童・生徒の教育を受ける権利を守ることを理由に、問題のある児童・生徒の出席を制限するというものだ。

出席停止の要件は、「ほかの児童の教育の妨げになること」と「性行不良であること」の2つ。性行不良とは「他の児童に傷害、心身の苦痛又は財産上の損失を与える」「職員に傷害又は心身の苦痛を与える」「施設又は設備を損壊する」「授業その他の教育活動の実施を妨げる」などの行為である。

これまで教育現場では、いじめ問題に出席停止を適用することに慎重だった。加害者の学習機会を保障する「教育的配慮」や学校側の「事なかれ主義」によって先送りになってきた。だが、たとえば東京都品川区では、2012年から出席停止を積極的に運用する方針を打ち出し、区内の小中学校の全教員に出席停止の手順をまとめた「手引き書」を配っている。