成果をあげる組織は何が違うか。キーエンスとプルデンシャルでトップの成績を残したSales Navi 代表取締役の田中大貴さんは「ほとんどの組織では、営業パーソンそれぞれの知識は脳内に暗黙知として放置されている。形式知にならない知識は共有されないから『売れる組織』『売れる営業』も増えず、労働生産性も上げられない」という――。

※本稿は、田中大貴『売れる組織 売れる営業』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

オフィスで働く3人のビジネスウーマン
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

生き残る営業とAIに代替される営業

現在、日本で営業職に就いている人は800万人程度と言われています。

営業職は、これからもなくならないとは思います。

ただ、営業職の就労人口は減っていくと考えられます。販売職も含めると、おそらく半減するのではないでしょうか。

現在も拡大を続けるeコマースや、販売ができるAIに取って代わられるからです。労働人口の減少やコスト削減など、社会状況を考えてもその流れが加速していくことは間違いありません。

また、レベルの低い営業パーソンに気分を悪くさせられるぐらいなら、自分で選択できるeコマースや能力の高いAIで十分だと顧客が考えるのは自然なことです。

AIの技術革新は想像以上に目覚ましく、営業の現場でも、数年先と思われていたような実践的な「AIエージェント」の活用が進んでいます。

AIエージェントとは、与えられた情報をもとにAI自身が考え、行動し、まるで人間の代理人かのようにさまざまなタスクを実行してくれるAIプログラムのことです。

まだ能動的な営業活動ができるわけではありませんが、顧客側が営業を受ける相手を、人間かAIかを選べる時代は目前まで迫っています。

付加価値が高い商材はまだ人間の営業の存在価値が大きく、取って代わられにくいと考えていましたが、そうとも言っていられない状況になっています。