国会における皇室問題についての議論
しかし、社会全体を考えてみるならば、戦後において産業のあり方は大きく変わった。とくに1950年代半ばからの高度経済成長の時代には、農業を中心とした第一次産業から第二次の鉱工業、第三次のサービス業への大規模な転換が起こり、農家や商家といった家の重要性は著しく低下した。
多くの人間が、企業や役所、各種の団体に雇用されるようになり、家を継承していかなければならないという感覚自体が希薄になった。天皇家の存続が危うくなるのも、そうした社会の変化と深く関係する。
こうした状況のなか、国会では、皇室の問題について議論されてきた。そこでは、「女性宮家」の創設という形で皇族女子を結婚後も皇室に残す案や、旧皇族の男系男子を養子縁組で皇籍に復帰させる案が出されている。とくに立憲民主党は、女性宮家の創設について積極的な姿勢を見せている。そこには、民主党政権の時代に、現在の立憲民主党の代表である野田佳彦元首相のもとで、その議論がはじまったことが関係している。このことをめぐっては、国会で議論が続けられている。
国会での議論のなかでは、今のところ、女性天皇や女系天皇については問題にされていない。それに、たとえ「愛子天皇」が誕生したからといって、それがそのまま皇位の安定的な継承に結びつくわけではない。それでも小林よしのり氏や高森明勅氏が愛子天皇待望論を主張するのは、愛子内親王が悠仁親王のように天皇の傍系ではなく直系だからである。
愛子内親王が持つ天性のカリスマ性
ただし先代の直系であることが、これまでの天皇の必須の条件になってきたわけではない。高齢で即位した光仁天皇もそうだが、傍系での即位はいくらでもあった。
それでも、愛子天皇待望論が主張され、女性天皇や女系天皇について国民の多くの支持があるのは、愛子内親王が独特の「カリスマ性」を持つからではないだろうか。
現代はボピュリズムの時代であり、天皇に対しても、国民をひきつけるだけの魅力が求められる。人をひきつける能力はカリスマ性と言えるし、スター性とも言うことができるが、それは天性のものである。
たんにその地位にあるからといって、カリスマ性が発揮されるわけではない。多くの国民は、悠仁親王からはカリスマ性を感じることがないのではないだろうか。それに対して、愛子内親王にはある。それこそが国民の一致した見方ではないだろうか。
なぜカリスマ性を備えているのか、その理由を明らかにすることは難しい。むしろそこには、愛子内親王が女性であることが深くかかわっているのではないか。その背後には、開かれた皇室のイメージを形成する上で決定的な役割を果たした美智子上皇后がいて、それを受け継いだ雅子皇后がいる。平成の時代にしても、令和の時代にしても、注目を多く浴びるのは男性である天皇ではなく、むしろ民間出身の二人の女性である。
愛子内親王がこの二人の血を受け継いでいることが、そのカリスマ性を高めることに貢献しているのは間違いない。
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