毎年届く「ねんきん定期便」。中身をきちんとチェックしているだろうか。見るべきポイントはきわめてシンプルだ。専門家の徹底解説をお届けする──。
パソコンに向かいながら書類を見る人
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働き続ける人が増え、年金財政は大きく改善

毎年、誕生月になると送られてくる「ねんきん定期便」というハガキ。年金制度が破綻すると騒がれていた記憶もあるし、見方もよくわからないからサッと見たら捨ててしまおう――そんな方も多いのではないでしょうか。

ねんきん定期便とは、国の年金制度がきちんと運用されていることを伝えると同時に、将来自分がもらえる年金額を知らせるためのもの。私たちが老後の生活設計を考える際のベースとなる、とても重要な通知です。

【図表】ねんきん定期便とは?

年金制度に不安を持つ人も少なくありませんが、今のところ国の年金制度は適切に運用されており、私たちの払った保険料は将来ちゃんと年金として返ってきます。確かに日本は世界一高齢化が進んだ国で、人口ピラミッドは頭でっかち。そんな状況で年金制度を維持するのは難しく、少し前まで保険料はどんどん上がり続けていました。

そこで国は、このままでは現役世代の暮らしが厳しくなるばかりだとして、2004年に保険料率の上限を設定し「保険料の範囲内で給付を賄う」ことにしました。働く人が増えれば、入ってくる保険料も増えます。日本ではこのところ60歳を過ぎても働き続ける人や、今までなら専業主婦だったような女性も働きに出るようになったので、それが年金の財政収支改善に大きく寄与しているのです。

そして今後の年金収支を予測し、財政の健全性を確認するのが、5年に一度行われる「財政検証」です。

もらえる年金額は「現役世代の50%以上」

財政検証には、「所得代替率」という目安が設けられています。所得代替率とは、「現役世代の手取り額」に対して夫婦で受け取る年金の割合を示しており、国は現状6割程度を維持、将来的にも50%を切らないように調整を行っています。つまり国の年金は、夫は会社員、妻は専業主婦というモデルを設定し、将来にわたって50%以上の年金額を支給することを「健全な状態」としているのです。

では、実際の個々人の年金額は一体いくらになるのでしょうか。年金額は年金受給開始年齢までの「年金に加入した期間」と「納めた保険料の額」で決まります。長く加入している人や保険料を多く納めた人は年金も多くなりますが、期間の短い人や保険料が少ない人は年金も少なくなります。

もし年金額が少なくて「たったこれだけ?」と感じる場合でも、年金受給が始まってからでは取り返しがつきません。このような悲劇を招かないために、「今のところ、あなたの年金額はこれくらいですよ。足りなければ自分でなんとかしてくださいね」と知らせてくれるのが、ねんきん定期便というわけです。先ほどの「所得代替率」が学校全体の偏差値だとしたら、自分の年金額は個人の成績表のようなものといえるかもしれません。

では、いよいよ「ねんきん定期便」の見方を解説していきましょう。