投資詐欺:好調企業の落とし穴は「本業以外」にあり

手を替え、品を替えて/フィリピンでエビの養殖に投資すると偽り、約4万人から850億円集めた投資会社「ワールドオーシャンファーム」詐欺事件の被害対策弁護団が開いた記者会見(07年11月、弁護士会館にて)。(読売新聞/AFLO=写真)

最近、世上を騒がせているものに未公開株詐欺といわれる詐欺事件がある。

消費者庁では「未公開株や社債の勧誘を巡る消費者トラブルが増加しています」と注意を喚起し、警察庁、金融庁等とともに「新たな手口による詐欺的商法に関する対策チーム」を設置した。被害者の7割は60歳以上の高齢者という。

この種の投資詐欺は、昔から絶えることがない。中小企業の経営者も、しばしばその餌食となっている。

たとえば、本業で成功している会社経営者のもとに、経営コンサルタントを名乗る身元不明の人物が現れ、「フィリピンでエビの養殖を始めるのですが、投資しませんか」といった話を持ちかけてくる。結果、億単位の金を持ち逃げされ、資金繰りに行き詰まり、本業が好調であるにもかかわらず倒産するケースも少なくない。

逆に、興信所などがこれをビジネスチャンスと捉え、「未公開株詐欺・社債詐欺の返金相談受けつけます」として、成功報酬制で相談を受けている例もある。

そもそも経営に問題のない企業が倒産するのは、本業以外に手を出した結果であることがほとんどだ。投資のほかにも、たとえば建築業の経営者が飲食店経営に手を出して失敗する――というのも、よくあるパターンだ。

最近の投資詐欺で目立つのは、フェイスブックなどのソーシャル・ネットワークを利用するものだ。会ったこともない人物が「友達リクエスト」をしてくるのである。

うっかり「承認」すると、それをきっかけに親しげに儲け話を打ち明けてくる。実名登録というフェイスブックの特徴を悪用した手法といえる。

(構成=久保田正志 写真=PANA、PIXTA、AFLO、読売新聞/AFLO=写真)
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