ビジネス・マッチング:融資拡大を“餌”に銀行から情報引き出す

金利競争は消耗戦/取引銀行の融資担当者たちを、マッチング情報の優劣で競わせよう。(AFLO=写真)

企業に顧客や取引先、あるいは売り上げにつながるような情報を紹介することをビジネス・マッチングと呼ぶ。

最近ではこれを主業務とし、有償で各種の紹介を行う企業も現れているが、金融機関にとっても、ビジネス・マッチングは収益拡大のための有力な武器となる。

銀行は、融資の利息を収入源としており、1つの企業が受ける融資の総額はおおむね、その企業の売上高に比例する。従って、銀行の融資担当者が考えるべきことは、融資先の売り上げに貢献することである。

そのためには、多数の取引先を持つ銀行の情報力を活用し、融資先に顧客となりそうな企業や、利益を生みそうな物件を紹介するといったビジネス・マッチングを行うことが効果的だ。

経営者によっては、「出店に有利な物件が出たら教えてくれ。実際に出店したら、その店関係の費用は全額、おたくから借りるから」という具合に、融資拡大をインセンティブとし、戦略的に銀行によるビジネス・マッチングを引き出しているところもある。

こうした“餌”をつけられれば、各銀行の担当者も物件情報を探しだそうと懸命になる。結果として企業は売り上げを増やせるし、銀行は融資額を増やせることになる。

ただし、つきあう銀行の規模は、自社の売上高に合わせて選ぶことだ。メガバンクの都心の支店ともなると、1人の行員が300社以上の取引先を担当するケースもあり、全社を丁寧にフォローする余裕はない。年間の売上高が10億~20億円程度の企業であれば、新人が付くか、そもそも担当者が付かない場合も。むしろ地方銀行や信用金庫と取引するほうが、親身に相手をしてもらいやすいといえる。