平賀源内とはどんな人物だったのか。歴史評論家の香原斗志さんは「科学や芸術など多彩な分野で活躍した源内は、男性が体を売る『陰間茶屋』にも強い興味を持っていた」という――。
2025年2月2日、成田山新勝寺「節分会」での安田顕(千葉県成田市)
写真=時事通信フォト
2025年2月2日、成田山新勝寺「節分会」での安田顕(千葉県成田市)

当時の江戸市民が天才・平賀源内に下していた意外な評価

蔦重こと蔦屋重三郎(横浜流星)が市中を歩いていると、「ガキ! いまなんていった、このクソガキ!」という怒鳴り声が聞こえてきた。声の主は平賀源内(安田顕)で、「平賀源内はイカサマだっていったよな?」と女性に食ってかかり、否定されると刀を抜き(竹光だが)、「いっただろ、ふざけんな」と怒鳴りつけた。NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第15回「死を呼ぶ手袋」(4月13日放送)。

止めに入った蔦重には「こいつら俺の悪口いいやがるんだよ。エレキテルはイカサマ、平賀源内は口だけだってな」と、鬼の形相でまくしたてる。突き飛ばされた蔦重が訪れた須原屋市兵衛(里見浩太朗)は「近ごろおかしいんだよな、源内さん。なにかというと食ってかかってな」と語り出した。

エレキテルに関して「ニセモノを作られた挙句、イカサマだなんていわれてよ」と、須原屋が同情も交えて語っていると、杉田玄白(山中聡)が現れ、「エレキテルについてはイカサマじゃないとは言い切れないですからね」と言葉を継いだ。蔦重が「じゃ、悪い気が出て万病に効く、ってのは?」蔦重が問うと、「源内さんがひねり出した売り文句ですよ。ちょいと大きく出すぎたかもしれませんね」と玄白。

須原屋はいった。「(玄白先生は)もとは源内さんの弟子みたいなもんだったんだけどね。いまやあっちは当代一の蘭方医。まあ、そんなことが源内さんには堪えているのかもしれねえなあ」。

源内は自分が認められないことに焦っている。そんな描き方だった。