皇室典範は「直系」と「傍系」を区別
ちなみに、皇室典範には「成年」について、皇室の中で「天皇、皇太子及び皇太孫」だけは18歳で成年を迎える、との規定がある(第22条)。しかしこの条文は、民法の改正によって誰もが18歳で成年になることになり、特例規定としての意味を持たなくなった。
それでも、皇室典範の「直系優先」の姿勢を示していて、興味深い。それは、ここで特別扱いされていたのが、天皇と“直系”の皇嗣(皇太子、皇太孫)に限られている事実だ。
言い換えると、同じ「皇嗣(皇位継承順位が第1位)」であっても、“傍系”の皇嗣はほかの皇族と同じ扱いにされていることを意味する。
ほかの条文を見ても、皇室典範は直系の皇嗣と傍系の皇嗣を明確に区別して、直系を重く位置づけていることがわかる(第11条第2項・第19条)。傍系の場合、皇嗣でも皇籍離脱の可能性すら認められている。
このように扱いの違いがある傍系の皇嗣は、天皇と親子のようなタテの関係ではなく、ヨコのきょうだい関係にある場合などをさす。令和の皇室で言えば、秋篠宮殿下がまさに傍系の皇嗣にあたられる。
悠仁殿下は、その傍系の皇嗣のご長男、というお立場だ。
“皇族”を感じさせなかった昨年の「ご感想」
今回の悠仁殿下のご会見を拝見して、個人的に強く感じたことの1つは、以前に宮内庁から発表された悠仁殿下のご成年に際しての「ご感想」(「悠仁親王殿下18歳(ご成年)のお誕生日に当たり」令和6年[2024年]9月6日)との、小さくないギャップだ。
こちらは率直に言って、このご感想を述べておられる主体が「皇族」であることを、まったく感じさせない内容になっていた。
文中のどこにも「天皇」「皇族」「国民」という言葉が出てこない。極端に言えば、意識してわざと拭い去ったかと思えるほどに、皇室や皇族を連想させる表現がいっさい見えなかった。
それに対して、今回のご会見ではどうだったか。あらかじめ宮内記者会が提出した質問にお答えになる形式だった事情もあり、当然ながら“成年皇族”としてのスタンスが明確に打ち出されていた。
おそらく周囲の助言も得ながら、入念かつ周到な準備をされたことがうかがえる回答になっていた。そのご努力には頭が下がる。
だが、等身大の悠仁殿下のお気持ちを正直に反映しているのは、おそらく先の皇族らしさを感じさせない「ご感想」の方ではないだろうか。このことは、悠仁殿下のこれまでの歩みに照らしても、そう言えるだろう。
