『君の名は。』の興行収入は130億円を突破
中国では海外映画公開の規制は厳しく、政治的な映画、暴力映画、ポルノ映画はまず許可されません。流血や裸は論外のようです。
そもそも共産党には、西洋文化が国内に入ることに強い抵抗があるので、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『ゴースト・バスターズ』など共産党的な道徳にさしさわりなさそうな映画でも公開を許していません。
そんな中でも日本のアニメは中国では大人気です。
最近中国で公開され、人気の高かった日本映画の1つが新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』。東京で暮らす少年と飛騨の少女が入れ替わるこの物語は、日本でも大ヒットしました。政治的でも暴力でもポルノでもない、無害な作品と判断されて中国でも2016年に上映され、2024年7月に再上映、累計の興行収入は6億元(約130億円)突破という大ヒットを記録しました。
中国では海外映画の輸入規制により、年間に上映される日本映画は数本と限られていましたが、2016年は、前年の『STAND BY ME ドラえもん』のヒットもあり、アニメ作品を中心に、10本を超える日本映画が公開されました。『君の名は。』で注目すべきなのは、日本よりも中国での観客動員数が多かったことです。人口が多いことは、それだけで豊かなマーケットであることが再認識されました。
『スラムダンク』聖地巡礼にやってくる中国人観光客
中国で人気になった日本のアニメをずらりと挙げてみましょう。『ちびまる子ちゃん』『スラムダンク』『ポケットモンスター』『クレヨンしんちゃん』『名探偵コナン』『美少女戦士セーラームーン』『ONE PIECE』『NARUTOーナルトー』『ドラえもん』『ドラゴンボール』などです。
新型コロナウイルス感染のピークが過ぎ海外旅行者が日本に大挙してくるようになると、日本人にとって想定外の場所が賑わいました。その1つが、神奈川県鎌倉市の鎌倉高校近くにある江ノ島電鉄の踏切です。そこは、アニメ『スラムダンク』のオープニング映像に登場する場所だったのです。
国道134号線と江ノ電が並行して走る踏切には多いときで100人を超える人が集まり、多くの中国人も競うように撮影をしていました。危険な行為もあり、テレビなどでも報道されていましたが、日本のアニメの人気を象徴する出来事でもあります。