※本稿は、松本哲(著)、本間龍介(監修)『楽しく遊びながら子どもの「発達」を引き出す本』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
「おねしょ」は子供や親のせいではない
おむつがとれるような年齢になったのに、いつまでたってもおねしょがなおらない。幼稚園や保育園でお泊まり保育があったり、小学校に入ってお友だちの家に泊まりに行くにもおねしょが心配……。そんな声もよく聞きます。大きくなってもおねしょがなおらないと、子ども自身の自信を失わせてしまったり、自己肯定感を下げてしまったりしがちです。
おねしょがなおらない子どもは、脊椎ガラント反射が残っている可能性があります。も
ちろん、排尿機能や腎臓などに問題があるケースもありますが、いずれにしても、子どもの性格や、親の育て方のせいではありません。
脊椎ガラント反射は腰まわりの反射で、脊椎の片側をなでると、刺激があったほうに肩や腰がくっついてしまう反射です。要するに、腰背部を刺激されると、くすぐったくなくても、体がくねくねしてしまいます。この原始反射が残っていると姿勢が悪くなる、集中力が落ちる、そしておねしょが長引くことがあります。
腰背部まわりは排尿とリンクしているため、夜、寝返りをした際にそこが刺激されておねしょをしてしまうことがあります。年齢が高くなれば、この反射が残っていても、日中はトイレに行くことができます。でも、夜寝ているときばかりはコントロールできません。子どもはとくに寝返りの回数も多く、朝起きたら反対側に寝ていた……などということも珍しくありません。
「くすぐりっこ」をするといい
脊椎ガラント反射をととのえることで、おねしょを解決していきましょう。おねしょで悩むお子さんの中には、「夜尿症」と言われ、小児科などで薬を処方してもらっている場合もあるでしょう。もちろん、薬が悪いわけではありませんが、とくにおねしょが治まってくるはずの年齢にもかかわらずおねしょが続く場合は、同時に原始反射を統合する動きをすることが、おねしょ解消の近道になるかもしれません。
脊椎ガラント反射が残っているかどうかは、マット運動をするとわかりやすくなります。前転や後転をサポートするときに、指導員が腰まわりを押さえてサポートしようとしますよね。反射が残っている子は、これを嫌がったり、くすぐったがったりします。
極端な子は、触っていないのに、触ろうとするだけで嫌がる場合もあります。この場合は、サポートの仕方を工夫します。だんだん慣れてくると、そしてほかの反射もととのってくると、腰まわりを触れることに抵抗がなくなってきます。
ご家庭で運動をする場合、脊椎ガラント反射が強く残っている子どもは、無理に触ろうとすると嫌がって逆効果になります。ただ、嫌がるのは最初だけのことがほとんど。何度も同じことを繰り返すうちに、嫌がらなくなるでしょう。
ぜひ、腰背部を刺激する動きをやってみてください。マット運動のように、前転や後転をするのもいいですが、難しければ親子で一緒に布団やベッドに横になり、横にごろごろ転がってみたり(寝返りのような動き)、くすぐりっこをするのも楽しいですね。
本書でご紹介した、体育座りをしてそのまま後ろにゴロンと倒れる「ゆりかご」の動きもおすすめです。