※本稿は『裁判員17人の声 ある日突然「人を裁け」と言われたら?』(旬報社)の一部を再編集したものです。
「刑事裁判に市民が参加する」という裁判員制度の意義
裁判員制度は個人の人権の保障という面も含め、刑事裁判における判断に市民が参加するという大切な意義が有ります。この意義や、裁判員裁判を通じてチームとして結論出すことの充実感を得る人が多くいるということも理解してもらう必要があると指摘されています。裁判員制度について知らない・知っていても誤った理解をしている方が大変多いためです。
こうした状況を打開するためには、裁判員経験者の話を聞くことが有効であることが最高裁のアンケート調査、日弁連会長談話等で指摘されており、私、弁護士の牧野茂が共同代表世話人をつとめる裁判員経験者ネットワークの交流会に参加しているメンバーもそのことを実感しています。
2010年に有志で設立された裁判員経験者ネットワークは、経験者の交流の場の提供と裁判員経験を社会に発信することを図り、また裁判員制度の課題である守秘義務について検討する守秘義務市民の会と、交流部門、課題検討部門で活動をしています。
裁判員に選ばれたときから任務を終えるまでについてインタビュー
これまでの交流会では多様な経験者が懇談に参加して、体験談を語り合って制度の意義や充実感、課題を語り合っています。そこで裁判員の体験談を集めて広く公表しておきたい、という意見が出ました。
10代の裁判員も含め、市民が安心して前向きに裁判員裁判に参加するための有効な情報として、交流会で体験を語った経験者に、裁判員に選ばれたときから任務を終えるまでについて、詳細にインタビューしました。
また裁判員経験者ネットワークのように、裁判員を務めたあとで経験者同士で安心して語り合える市民団体が複数有ることも知っていただき、経験者がその後気軽に交流会に参加し、その交流会で語られた体験談が自然に社会に広まることも期待しています。