シアタールームやジム、ジャグジーなど付帯設備の充実したマンションもあるが、資産価値の面からいえば必ずしも有利とはいえない。
「新築時には住民も頻繁に使うのですが、しばらくすると誰も利用しなくなる例が多い。それでも設備の管理費用は払い続けなければいけない。目先の派手さに惑わされず、シンプルで住みやすさに特化した物件を選ぶことが重要です」(碓井氏)
これらが住宅の専門家の見る資産価値の高いマンションの条件だ。
なお、マンションを買うならば、「管理を買え」といわれ、管理の行き届いた物件ほど資産価値が下がりにくいと思われていたが、いまやマンションはきちんと管理できていて当たり前。資産価値の面からいえば、管理はさほど重視されなくなっている。
では、戸建てはどうなのか。戸建ての資産価値は地価の動きにもっとも左右されるが、少子化時代に無視できないのは人口動態である。
「戸建てでは、時期によって賃料の動きの激しい地域と安定した地域があります。賃料が安定しているのは、都内では練馬区や江戸川区、練馬区は埼玉県、江戸川区は千葉県に隣接しているからです。地価上昇時は都心から郊外に移る人が増えますが、23区にこだわる人も多く、彼らは県境ぎりぎりの区内に住む。一方、地価が下がると都民になりたい人が周辺から流入する。結果として地価の変動に関係なく人口が増えるから賃料が安定する」(沖氏)
人口が増え続けているという条件は、そのまま他の地域にも当てはまる。
持ち家のある人たちのほとんどは、一般的なマンションか、最寄り駅までバスの一戸建てに住む。ということは、持ち家に住む人たちの大多数は、資産価値の下落リスクにさらされている。これを避けるために自分たちができることは限られているが、やはり、多くの人が住みたいと思えるような家にしておくことが大切だ。