今年に入ってから、東京都心の一等地での高級マンションの売れ行きが堅調だ。そのなかには“億ション”が多く含まれており、特に千代田区、港区、渋谷区に集中している。

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13年に入って上昇に転じたマンション価格

その好例が、三井不動産レジデンシャルがJR飯田橋駅近くの外堀沿いで手掛けている「パークコート千代田富士見ザ タワー」だ。昨年末に発表された分譲価格は8090万~1億1060万円だったが、地権者の等価交換分を除いた約420戸が4月までに完売し、業界内では驚きの声が上がった。そうした高額の新築マンションが牽引役となって、マンション価格の相場は昨年より1割ほど上昇している。

売れ行き好調の1番の要因は、消費増税と相続税の改正だ。一方、消費税率アップの負の側面を緩和するための住宅ローン減税の見直しもある。過去の例を示すまでもなく、税制改正は、不動産価格と市況変化に大きく影響する。

消費税率は来年4月に8%に、2015年10月からは10%と2段階で引き上げられる。同時に、住宅ローンの期末残高の1%が税額から控除される住宅ローン減税が17年12月まで延長。ローン残高の限度額が現行の2000万円から4000万円となり、10年間の最大控除額は200万円から400万円に拡大される。

相続税については、15年1月から相続税評価額に対する基礎控除が6000万円から3600万円に引き下げられ、最高税率は50%から55%に引き上げられる。そこで主に富裕層が、税率が低いうちに節税対策用のマンションを購入するケースが多くなると予想される。

このような状況は、大阪府や愛知県でもほぼ同様で、税制改正を織り込んだ“駆け込み需要”が発生している。15年10月まではマンションに対する需要はコンスタントに増えることになり、その結果、マンション価格も強含みで推移すると見ていいだろう。