再来年秋から値下げが始まる

では、いまは「買い」なのか。その判断は物件の価格によって異なる。

消費税は土地には課税されず、上物が対象になるので、上物が1億円の億ションを買いたい場合、いまならまだ消費税額は500万円で済む。それに対して現行の住宅ローン減税だと、戻ってくるのは最大控除を受けても200万円で、その差は300万円。しかし、来年4月以降は消費税が800万円となる一方で、最大の控除額が400万円となり、差が400万円に広がってしまう。つまり、いま買ったほうが得なのだ。

一方、6000万円のマンションの場合はどうだろうか。世帯年収が800万~1000万円の“アッパーミドル層”が、頭金として1000万円出して、残り5000万円のローンを組むと、最大控除額分である400万円に近い額が返ってくる。見直し前より200万円程度多くなる可能性が高い。それに対して消費税率3%相当額はおおむね100万円前後(上物分)で、来年4月以降の購入が有利という判断が働く。

その代わり、消費税率が10%になれば、需要が一巡してマンションは売れなくなる。だから、大手デベロッパーを中心に、いま売れるうちに売っておこうと大量供給をしているのだ。15年秋以降、新規分譲は止まって、売れ残り物件の値下げが始まるはずである。

ただし、価格が落ちた物件にいい条件の出物は少ない。売れ残るのは、交通利便性、居住快適性などに難がある場合が多いからだ。予算も大切だが、将来の資産価値も考慮し、しっかりした情報収集と資金計画を心がけてほしい。

(構成=岡村繁雄)
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