フジテレビに課せられた短期的、中長期的な対応

通常の企業の不祥事と同様、フジテレビには下記のプロセスで対応策を講じることが求められる。

調査の実施 ⇒ 調査結果の発表 ⇒ (問題社員の処分等の)対応策の実施 ⇒ 再発防止策の策定

ただし、このプロセスを貫徹するためには、短くとも数カ月、場合によってはより長い期間を要する可能性がある。要するに、上記は中長期的な対応策ということになる。

しかしながら、すでにCMの差し替えという事態が起きており、その流れが加速しているという現状がある。

誤解もあるようだが、CMの差し替えはCM契約の即終了を意味しているわけではない。「CMの放映を一時的に差し控える」ということであり、状況次第ではすぐに復活させることもできる。

逆に言えば、CM再開を実現するために、フジテレビは短期的な対応策も平行して実行していかなければならないということだ。

具体的には、

1.経営者が当該案件に対する説明責任を果たすこと
2.スポンサー企業への説明と対話を行うこと

ということが重要になる。

フジテレビの「誠実さ」が待たれる

記者会見が不完全燃焼に終わった点については、港社長自身の口で、改めて納得のいく説明を行う必要があるだろう。特に、記者会見で表明されていた、調査委員会のより具体的なあり方を示す必要がある。それは、短期的な対応策として重要であるだけでなく、中長期的な対応策の第一歩ともなる。

今回の事案においては、スポンサー企業は事前にフジテレビから説明を受けておらず、報道で問題の存在を知る結果となっている。今後は、フジテレビは現場レベルで、スポンサー企業に対する説明責任を果たすことが求められる。同時に、彼らとしっかり対話を行うことが重要だ。

現状では、フジテレビの不祥事が確定したわけではなく、依然として疑惑の段階に留まっている。調査結果が発表されるまでは、スポンサー企業も最終的な判断を保留にせざるを得ないのだが、CMを控えて待つのか、CMを放映しながら待つのかは、フジテレビ側の態度の「誠実さ」にかかっている。

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