仕事でより高い成果を出すためにはどうすればいいのか。大手外資系企業を中心に年間1000件以上の相談を行っている産業医の武神健之さんは「安定して高いパフォーマンスを出せる社員には2つの共通点がある」という――。
オフィスでハイタッチをするビジネスパーソン
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先輩、同期、後輩…他人と自分を比較しない

こんにちは。産業医の武神です。

2025年が始まり、もう1カ月が経ちました。皆様、調子はいかがでしょうか。安定して仕事のパフォーマンスを出せていますでしょうか。産業医面談に来る多くの人は、パフォーマンスに波があるとおっしゃいます。しかし、中には常に安定してパフォーマンスを発揮していると感じる社員もいます。

そこで今回は、外資系企業でなぜか“安定したパフォーマンス”を出せる人に共通する2つのことについてお話ししたいと思います。

ひとつめは、他人と自分を比較しないことです。

社会人になると、先輩、同期、後輩というようにさまざまな年齢の人と仕事をすることになります。同級生と自分を比べて“自分のレベル”を把握してきた学生時代と違い、長く働く人の多くは、自分より仕事を知っている人たちです。そのような人たちと自分を比べても、自分が優れていることは稀です。

これは、異動や転職した場合も同じです。多くの人は、キャリアアップの転職をしますが、これは前の会社よりも“できる”人たちの集団に入っていくことを意味しています。他人と比較することは高い確率で自分を楽にはしてくれないのです。

ですから、安定して仕事のパフォーマンスを出し続けるためには、今日の自分の能力よりも、未来の自分の能力を伸ばすことへ発想を切り替えることが大切です。

「自分よりできる人」を追い越したら成長が止まってしまう

他人と自分を比較するという発想では、たとえ自分よりできる人を追い越したとしても、そのことに満足したら、成長が止まってしまいます。また、自分より劣る人たちと自分を比べて優越感を感じていては、自分の能力が伸びることはなく、いいパフォーマンスを出し続けることはできません。

社会人にとって、他人と比べることにメリットはありません。つまり、他人と自分を比べること自体が間違っているのです。

同僚の出世や同期のボーナス、人事評価等、いずれも気になってしまうことはあるとは思います。しかし、大切なのは、昨日の自分よりも今日の自分、先週よりも今週、先月よりも今月、1年目よりも2年目、10年目よりも20年目というように、比べるべき対象は過去の自分であり、未来に向けて自分が成長していることなのです。

何事も初めてのことはできなくてもしようがない、いずれ自分はできるようになれるという考え方を持っている人こそが、安定して1年間いいパフォーマンスを出し続けられます。