これで歴代最高レベルの走り味に

インテリアは遂に8.8インチ横長ディスプレイ投入。コネクト性能も進化してAmazon アレクサ初対応。ボディカラー的にも新色エアログレーメタリック、幌はベージュが加わり、ほぼ同色のベージュのスポーツタン内装も選べるようになりました。

同時に今回はパワートレインも強化。1.5Lガソリンに国内のハイオクガソリンに合わせた新セッティングを施し、4psアップの136ps。また2Lエンジンも含めて駆動力制御を最適化し、アクセルを踏んだ瞬間のトルクの厚みが増しました。

さらなる驚きはハンドリングの改善で6MTの一部グレードに関してはマツダ新開発のアシンメトリックLSD初搭載。コーナリング中の駆動力伝達をより安定化させるもので加速時と減速時で非対称の制御が可能。コーナー立ち上がりはよりナチュラルに、コーナー侵入ではリアが安定するようになりました。

加えて、電動パワステを改良することでよりシャープなステアリングフィールを実現。骨格は変わりませんが、今まで以上のハイスピードで安心の手応えでコーナーに突っ込めるようになりました。

まさに内外装からエンジンから足回りまで全面改良で、ロードスター歴代最高レベルの走り味を獲得しているのです。

電動パワーステアリングでは、ステアリングギヤの構造変更によるフリクション低減に加え、モーター制御を改めてより「人馬一体」感を生み出すようにしている。
筆者撮影
電動パワーステアリングでは、ステアリングギヤの構造変更によるフリクション低減に加え、モーター制御を改めてより「人馬一体」感を生み出すようにしている。

最大の改良点

今回はそれに加えて、象徴的な改良が行われました。電子プラットフォームの一新です。いわば車内を走るハーネスや信号のやり取りとするコンピュータ、その情報のプロコトルなどです。人に例えるならば神経ネットワークに当たる部分でしょうか。

一見、クルマに詳しくない人にとっては「なにそれ?」な部分ですが、開発エンジニアに聞くと「これが今回の改良の主眼」だったと言います。これが変わったから速くなったとか、乗り心地がよくなるようなものではありませんが、キモは「サイバーセキュリティ」です。ぶっちゃけハッカー対策なのです。

スパイ映画に出てくるような話ですが、今のクルマはナビやオーディオが電気的なのはもちろん、アクセル、ブレーキ、ステアリングまで電子制御や電動アクチュエータが組み込まれています。

変な話、外部から電波でハッキングされたら、街を走るクルマが勝手にアクセルを開けて加速する! なんてことも起こり得ます。その事態を防ぐため、厳しい日欧レギュレーションが存在し、今回ロードスターはこのタイミングで新しい電子プラットフォームを備えなければ市販できなくなる恐れもありました。これがもっともやらねばいけなかったことなのです。

新型「ロードスター Sスペシャルパッケージ」(大幅改良モデル)
筆者撮影
新型「ロードスター Sスペシャルパッケージ」(大幅改良モデル)